葬儀・お通夜の正しい挨拶は?参列・弔問前に知っておきたいマナー
葬儀に参列する際は、ご遺族の方に挨拶をするシーンがあります。葬儀の挨拶には「ご愁傷様です」や「お悔やみ申し上げます」などさまざまな言い回しがあり、挨拶の際はマナーや忌み言葉に気をつけて、正しい挨拶をする必要があります。今回は、葬儀に参列する際の具体的な正しい挨拶の例と、マナー違反となる忌み言葉の例をまとめました。
目次
- 葬儀に参列する際の挨拶の基本
- 「お悔やみ申し上げます」
- 「ご愁傷様です」
- 「ご冥福をお祈りします」
- 「哀悼の意を表します」
- 挨拶で使ってはいけない「忌み言葉」
- 重ね言葉
- 仏教では「迷う」「浮かばれない」という言葉もタブー
- 神式・キリスト教式では「成仏」や「冥福」という言葉はマナー違反
- 励ましの言葉は慎重に選ぶ
- その他注意が必要な言い回し
- お通夜・葬儀で使える挨拶の文例
- 「お悔やみ申し上げます」を使った文例
- 「ご愁傷様です」を使った文例
- 弔問時の挨拶のマナー
- そもそも弔問とは
- 葬儀やお通夜と同じく忌み言葉に注意
- 宗派への配慮も大切
- 直接的な表現を控える
- 「天寿をまっとう」や「大往生」などの言葉にも注意
- 死因などは直接尋ねない
- 挨拶はマナーを守って簡潔にする
- メールでお悔やみのメッセージを送る場合のマナ
- 相手が上司の場合
- 相手が親しい友人の場合
- 短く簡潔なタイトルでメッセージを送る
- 本文も簡潔かつ丁寧に書く
- 誤字・脱字の確認も忘れずに
- ご遺族に寄り添った挨拶を心がけよう
葬儀に参列する際の挨拶の基本
お通夜や葬儀の場では、故人や遺族の方に失礼がないよう細心の注意を払って挨拶する必要があります。以下では「お悔やみ申し上げます」や「御愁傷様です」など、葬儀に参列する際に、とくによく使われる挨拶の意味と正しい使い方を解説します。
「お悔やみ申し上げます」
「故人の死を悼み、弔いの言葉を申し上げます」という意味が込められている挨拶です。遺族の方に口頭で挨拶する際、弔電の文中で挨拶する際のどちらにも使用できます。またメールで使っても問題ありませんが、お相手が目上の方であればメールのみで挨拶を済ませるのではなく、口頭でも直接挨拶をするのが礼儀です。
「ご愁傷様です」
「ご愁傷様です」という言い回しは、悼む気持ちを表す言葉として使われます。転じて、故人や遺族の方を気の毒に思うこと、その心の傷を慰めることを意味する挨拶です。お通夜や葬儀会場において、口頭で挨拶する際によく使われますが、メールで使っても基本的にマナー違反にはあたりません。
「ご冥福をお祈りします」
「冥福」とは、死後の幸福を指す言葉。「故人の死後の幸福を、心よりお祈りします」という意味で使われる挨拶です。遺族の方ではなく、亡くなった故人に対して使うのが適切。また、「ご冥福をお祈りします」は口語表現ではなく書き言葉であるため、弔電や手紙などで使うのが一般的です。
「哀悼の意を表します」
故人の死を悼み、悲しむことを示す挨拶です。「ご冥福をお祈りします」という言い回し同様、口語表現ではなく書き言葉です。よって、弔電や手紙などで使うことが相応しいです。遺族の方に直接口頭で伝える際は、「お悔やみ申し上げます」や「ご愁傷様です」などの言い回しを使ったほうが無難です。
挨拶で使ってはいけない「忌み言葉」
お通夜や葬儀の挨拶には、使ってはいけない「忌み言葉」があります。たとえば、「死」を直接的に連想させる言葉全般はタブーとされているため注意しましょう。「死亡」は「永眠」または「逝去」という言葉に言い替えたり、「急死」は「突然のこと」などと言い替えたりするのが礼儀です。ほかの忌み言葉としては、「重ね言葉」や宗教的な意味合いを持つ言葉があげられます。
重ね言葉
「たびたび」や「ますます」などの重ね言葉は、お通夜や葬儀の場では禁句とされています。重ね言葉には、「不幸が重なる」というイメージがあるためです。くわえて、「追って」「再び」などの言葉も同じく不幸が続くことを連想させるため使わないようにしましょう。
仏教では「迷う」や「浮かばれない」という言葉もタブー
仏教における供養は、故人が極楽浄土へいけるよう祈って行なうものです。したがって、「迷う」や「浮かばれない」という言葉は成仏できないことを連想させる忌み言葉となります。口頭の挨拶ではもちろん、手紙や弔電などの文面でも使うのは避けましょう。また、「天国」という言葉はキリスト教に由来する用語であるため、仏教式のお通夜・葬儀で使うのは不適切だとされます。
くわえて、同じ仏教であっても細かい宗派によって忌み言葉になるもの、ならないものがあります。たとえば浄土真宗では、「霊前」という言葉を使うのは不適切です。浄土真宗の教えでは、「人は亡くなってすぐ浄土へ導かれ、仏様になる」とされているため、仏様になる前を指す「霊前」はふさわしくないとされているためです。故人の細かい宗派を把握しているのであれば、宗派ごとの言い回しにも気を配りましょう。
神式・キリスト教式では「成仏」や「冥福」という言葉はマナー違反
神式(神道)やキリスト教式など、仏教式以外の葬儀では思わぬ言い回しが、忌み言葉にあたることがあります。たとえば「成仏」、「冥福」、「往生」、「供養」といった言葉はすべて仏教用語であるため、神式やキリスト教式の葬儀にはふさわしくありません。
神式・キリスト教式では、お悔やみの言葉をかけるという習慣がありません。とくにキリスト教では、人の死は「地上での罪を許され、神の元へ帰っていく」ことと解釈されています。よって、お悔やみの言葉の代わりに「神様の平安がありますように」や「天へ召された〇〇さんの平安をお祈りいたします」という言い回しの挨拶をするのが一般的です。
励ましの言葉は慎重に選ぶ
遺族の方を励まそうと、「元気を出してください」、「頑張ってください」と声をかけたくなることもあるかもしれません。しかしこれらの言葉は、言われた本人にとって大きな負担になることもあります。さらに遺族の方を寂しく、辛い気持ちにさせてしまわないよう、励ましの言葉は慎重に選ぶことをおすすめします。
その他注意が必要な言い回し
故人の死因を直接尋ねたりするのも避けましょう。どちらの言葉も遺族の方を傷つけ、悲しみに拍車をかけてしまう可能性があります。こうした言葉は使わずに、お悔やみの気持ちと遺族の方を労う気持ちを簡潔に伝えるようにしましょう。
お通夜・葬儀で使える挨拶の文例
ここでは、手紙や弔電で使える文例をいくつか紹介します。とくに使用頻度が高い「お悔やみ申し上げます」と「ご愁傷様です」という言い回しを使った文例をまとめましたので、手紙や弔電を作成する際に参考にされてみてください。
「お悔やみ申し上げます」を使った文例
「この度は残念なことでございました。心よりお悔やみ申し上げます。ご遺族におかれましてはお力落としのことと存じますが、私にできることがあれば何でもおっしゃってください。」
「この度はお悔やみ申し上げます。悲しいお知らせに、まだ信じられない思いでございます。どうぞお力を落とされませんように、ご自愛くださいませ。」
「突然の知らせに、大変驚いております。ご家族の皆様はさぞかし無念でございましょう。謹んでお悔やみ申し上げます。お力落としのことと存じますが、どうか気をしっかり持たれてください。」
上司と部下、親しい友人など、相手との関係性によって細かい言い回しを変えると良いでしょう。
「ご愁傷様です」を使った文例
「この度はご愁傷様でございます。心よりお悔やみ申し上げます。突然のことで、ご家族の皆様の心中をお察しいたします。」
「突然の悲しいお知らせに、大変驚いております。この度はご愁傷様でした。ご遺族の皆さまにおかれましてはお力落としのことと思いますが、どうか気を確かに持たれてください。」
「この度はご愁傷様でございます。突然のことで、心より残念に思います。ご家族の皆様のお気持ちを思うと、言葉も見つかりません。私にできることがあれば、何でもおっしゃってください。謹んでお悔やみ申し上げます。」
弔問時の挨拶のマナー
どうしても葬儀当日の都合が合わず、後日改めて弔問へ伺う、ということもあるでしょう。弔問に伺う際のマナーや、注意すべき言い回しを紹介します。
そもそも弔問とは
弔問とは遺族の方を訪問し、お悔やみの挨拶をすることです。お通夜の前に行うケースもあれば、お通夜・葬儀後数日~四十九日の間に行う場合もあります。弔問の際は、事前に必ず遺族の方にお伺いを立てましょう。とくに葬儀前から葬儀後は休む間もなく、遺族の方は心身に大きな負担を覚えています。遺族の方を気遣って、弔問に伺っても良いか否かの連絡をきちんと入れることが大事だと言えます。
葬儀やお通夜と同じく忌み言葉に注意
弔問時は、葬儀やお通夜と同様に、忌み言葉を使わないようにします。「ますます」や「たびたび」などの重ね言葉、不吉だとされる「苦しい」、「離れる」、「悔しい」という言葉も使わないようにしましょう。前述したように「追って」、「続いて」、「再び」などの言葉も、不幸が続く・長引くことを連想させるためマナー違反です。挨拶中にうっかり使ってしまわないためにも、挨拶のシミュレーションを簡単にしておくことをおすすめします。
宗派への配慮も大切
故人の宗派が神道やキリスト教など、仏教以外の宗派であった場合、「冥福」「成仏」などの仏教用語は使わないようにしましょう。神式では「ご平安をお祈り申し上げます」、キリスト教式では「安らかに眠られますようお祈り申し上げます」という言い回しを使うのが無難です。
詳しい宗派がわからない場合は、「お悔やみ申し上げます」や「ご愁傷様です」など、汎用性の高い挨拶をすると良いでしょう。
直接的な表現を控える
お通夜・葬儀の時と同様に、「死亡する」や「急死する」など直接的な言い回しをするのは避けましょう。この場合、「ご逝去される」や「永眠される」などの言葉に言い替えるのが礼儀です。生前の話をする際は、「お元気な頃」や「ご生前」などの言い回しを使うことで、忌み言葉になるのを避けることができます。
「天寿をまっとう」や「大往生」などの言葉にも注意
「天寿をまっとうする」や「大往生する」などの言葉は、弔問客ではなく遺族の方が使う言葉です。よって、弔問客がこれらの言葉を使うのは不適切です。失礼にならないよう、弔問に伺う際は遺族の方の立場に立って挨拶することが大切なのです。
死因などは直接尋ねない意
故人が親しい方であれば、なぜ亡くなったのか死因を知りたいという方も多いはずです。しかし、亡くなる間際の状況を思い出すのが辛いと感じる遺族の方もいらっしゃいます。死因を尋ねたり、根掘り葉掘り質問をしたりするようなことは避けましょう。
挨拶はマナーを守って簡潔にする
弔問では、きちんと簡潔に挨拶したうえで、長居せず早めに帰宅することがマナーです。遺族の方はお通夜や葬儀、ほかの弔問客の応対によって、心身ともに疲弊している可能性が高いためです。すぐに帰るのはしのびないと感じるかもしれませんが、ご遺族の負担を考えて手短に弔問を済ませましょう。
<メールでお悔やみのメッセージを送る場合のマナー
仕事などの都合で、葬儀や弔問へ直接伺うことが難しい場合もあります。その場合は、メールや電話でお悔みのメッセージを伝えてもマナー違反にはあたりません。ただし悪い印象を与えないためにも、最低限のマナーを守ることが大切です。
相手が上司の場合
上司に対してお悔やみや哀悼の意を示す場合は、メールよりも電話のほうが無難です。とくに年配の方の場合、昔ながらの礼儀を重んじる方である可能性があります。また、別の日に直接ご挨拶することも忘れずに。メールや電話はあくまで略儀であり、正式な挨拶ではないからです。
相手が親しい友人の場合
とくに親しい友人が相手の場合は、電話とメールどちらでメッセージを伝えてもマナー違反にあたりません。とくに近年では、メールやグループチャットなどで、訃報を受け取る場合もあるでしょう。とはいえ、「忌み言葉に気をつける」、「直接的な言い回し・表現を避ける」といった最低限のマナーをきちんと守る必要があります。
短く簡潔なタイトルでメッセージを送る
メールでお悔やみの気持ちを伝える場合は、用件が一目でわかるように簡潔なタイトルをつけましょう。自分の氏名を書いたうえで、「〇〇(名前)です。謹んでお悔やみ申し上げます」というように記載するとわかりやすくなります。
本文も簡潔かつ丁寧に書く
伝えたいことが多くなりすぎて、つい本文を長く書いてしまうこともあるでしょう。しかし、本文を長く書き連ねるのは見栄えが良くなく、遺族の方も煩わせてしまいます。タイトルと同じく、本文も丁寧かつ簡潔に書くことが大切です。相手に負担をかけないよう、「返信不要」と一言つけ加えると良いでしょう。
誤字・脱字の確認も忘れずに
メッセージを作成したら必ず全体を読み返し、誤字・脱字がないかを確認します。また、不自然なところはないか、忌み言葉や縁起の悪い言い回しを使っていないか否かも確認しましょう。
ご遺族に寄り添った挨拶を心がけよう
お通夜や葬儀の場で挨拶する際は、ご遺族の立場に立った言葉選びをすることが大切です。哀悼の意をきちんと示すためにも、忌み言葉や宗派の違い、ご遺族の心労に寄り添った挨拶を心がけましょう。
今回は、お通夜や葬儀で、ご遺族への挨拶について解説しました。挨拶をする際には「忌み言葉」や「重ね言葉」に十分気をつけて、マナーを守りましょう。また、お通夜や葬儀、法事では服装にもマナーがあります。以下のページでは、お通夜や葬儀での服装をはじめ法事・法要での服装のマナーについて解説しています。こちらも合わせて、ご参照ください。
法事・法要の服装のマナーとは?喪服・平服はどのように選ぶ?